ひとりの少女と、三人の女の子、
 そしてひとりの女性が書いた、二十篇の詩。



  Title:よかぜ




 -Mayumi.-


ふたりで向かい合って細い鉛筆を立て、
消しゴムをふたつ使って倒れないように。
君は挟んで固定したのに、私は縦と横に。
私は不器用だ。


スペードとハート、二組二十六枚で勝負。
ひとつずつ取って、数が多ければ勝ち。
どちらかがAを引いてしまったら終わり。
簡単でしょう?


新しいジャンケンのルールだよ。
パーは一番強くて、チョキは二番目に強い。
グーが一番弱い。
私はパーを出すよ。
あなたはなにを出すの?


思いを言葉にすることが、
あんなにも難しいなんて知らなかった。
心の奥のモヤモヤを全部は表現できないけれど、
やれるだけぶつけよう。



 -rei.(Mii.)-


心の奥にコトンとくるような、
端っこまでスーっと響きわたるような、
そんな優しい声をかけたり、
かけられたりできる人に出会いました。


私はありのままの君が好きなのに、君は背伸びをしている私が好き。
あなたが私に甘えてくれてうれしいけど、私も甘えたい。
いつも思う。


あなたには左手が無くて、私には右手が無いから、
私があなたの左手の代わりになろうと言ったのに、
あなたは私の左手が欲しいと呟いた。


私がしっぽを引っ張ったから、あなたは警戒してしまった。
頭を撫でたいのに、撫でられたいのに?
お互いどこかビクついてて、気まずい。



 -Mika.-


頭を撫でられるのは嫌い?
喉を鳴らされるのは嫌い?
耳を触られるのは嫌い?
もしも全部好きなら云って。
私は貴方を飼ってみたい。


狭い箱の中に入った風船が、
少しずつ確実に膨らんでいくところを、
君も想像してみてよ。
四角になった風船の、
弾けるまでの束の間を。


明るいお月様が好きだとか、知ったかぶってる人は嫌い。
誰よりも君を愛するとか、平気で口にする人は嫌い。
だから私は、自分が好きだ。


私は良い人だから、貴方は全てを話してくれる。
私は良い人だから、それ以上にはなれそうにないから、
ただ黙って聴くことしかできない。


頭を撫でるより撫でられたいとか、
抱きしめるより抱きしめられたいとか、
子供じゃないんだから、そんな、
恥ずかしくて……言えないよ。



 -Mimi.-


焼き魚よりさくらんぼが好き。
喉をくすぐられるより、頭を撫でられる方が好き。
鈴の音は嫌い。鞠の方が好き。
膝枕は、される方が好き。


横で寝ていたはずの縫いグルミが、
朝になっていなくなっているのに気づいた。
散歩かな?
お昼時には返ってくるだろう。
たぶんきっと。



 -Mana.-


ひとりだけのボックス席。
一駅前はあの子が座ってたのに。
たぶんもう逢えないだろう。
そんな事を考えていると、車内があかく染まった。


駅のホームでイヤホンを耳にかけ、
右手には膨れた鞄、
左手には残り少ないコーヒー。
人で賑わい始め、私はまたひとつ電車を乗り過ごす。


前までの私は、
そこに君がいたから無理をしてでも通ってたのに、
今はもう、
そこに君がいるから道草せずに帰路に就いている。
どうして?


ぎゅうぎゅう詰めの車内が好き。
自分で立たなくてもいい感じ。
人のぬくもりに囲まれるのもいい。
動けないから、動かなくていい。
楽々。


あなたが私を必要としてくれているなら、
私はいつまでもあなたの傍にいます。
私をもう一度呼んでくれたことに、
心から感謝しています。







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